社会調査史のリテラシー

方法を読む社会学的想像力

社会調査史のリテラシー
著者 佐藤 健二
ジャンル 社会学
出版年月日 2011/01/31
ISBN 9784788512191
判型・ページ数 A5・606ページ
定価 本体5,900円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

社会調査とは何か。社会調査史とは何か。その意義を観察や記述や分析の具体的な技法からたどり,「量的/質的」などの不毛な二分法的カテゴリーを根源から問い直す。「社会」と「社会学」についての思考を一新させる,研究者必読の刺激的論考集成。
社会調査史のリテラシー――目次

まえがき

1 日本近代における都市社会学の形成
 一 日本都市社会学の歴史意識
 二 可視化の実践とテクスト――方法史的分析の模索
 三 累積する起源の変革力――まとめに代えて

2 モノグラフィの都市認識
3 東京市社会局調査を発掘する
 一 調査研究のねらい
 二 東京市社会局の誕生
 三 基礎資料として集成する方法について
 四 調査資料集成の基本方針
 五 調査の視角――下層の可視化
 六 今後の課題

4 コミュニティ調査の方法的課題
 一 方法的課題とは何か
 二 コミュニティ研究の視座構造――方法意識のあらわれとして
 三 コミュニティ調査実践の三つの蓄積
 四 方法論的多様性の構築にむけて――表層のテクスト化

5 ライフヒストリー研究の位相
 一 『口述の生活史』の問題提起
 二 フィールドとしての個人
 三 口述の方法性

6 量的方法と質的方法が対立する地平
方法論議の意味  二項対立の大文字化  二項対立の歴史性  チェーピンの分類  二項性の浮上と集約  岩波全書版『社会調査』  相互補完による自己完結  非対称性と時代性  社会調査の流行  対立の地平の展開形態  データ批判と形式分析

7 コミュニケーションとしての調査
 一 耳の採集――ことばで知るということ
 二 聞き書きというドラマ――取り調べ・尋問から生活史まで
 三 方法としての調査票――複合的な方法性の構築にむけて

8 内容分析とメディア形式の分析
「身の上相談」分析の新しさ  メディア空間の変容  手法と素材を問われる

9 調査史のなかの『都市の日本人』
方法と場とを読む  日本における社会調査の展開  方法意識をしばる対立  豊かな折衷主義  調査票(質問紙)のもつ意味  調査票以前あるいは調査票以外  調査をある密度にまで押し上げる  質問するという社会行為  資料の多面性をふまえつつ  後発効果論を生かせる枠組みの必要

10 調査のなかの権力を考える
 一 関係性の解読と共生
 二 調査のなかの権力をめぐって
 三 観察と対話の位相

11 厚みのある記述をつくる
 一 モノグラフとは何か――「グラフgraph」の意味
 二 分厚さの構築――記述のなかの分析
 三 経験に学ぶ――モノグラフへの参与
 四 謎解きの物語――探偵小説というモデル

12 国勢調査「美談逸話」考
 一 『日本国勢調査記念録』と第一回国勢調査
 二 調査への動員――名誉と献身の物語
 三 奇談への逸脱――権力と主体性

13 社会調査データベースと書誌学的想像力
文化財としての調査資料  印刷物としての質問紙  四つの要素の複合体として  作品としての調査票とライブラリー  社会調査史の不在  社会調査論と認識の生産  エフェメラの書誌学  『都市の日本人』  「L.S.」と「K.S.」  質問紙以外  データの多次元性と読者の批判力  ぶ厚い共有に向けて  非文字資料の資源化  画像資料批判

14 テクノロジーと記録の社会性
 一 テクストをめぐるテクノロジー
 二 方法史の領域と調査実践の分析
 三 社会地図と空間記述
 四 集計を立ちあげる記述
 五 生活を書きとめる
 六 テクストとしての写真
 七 テクノロジーとしてのリテラシー

15 図を考える/図で考える
 一 学問の名前
 二 絵引の発想と画像データベース
 三 「網のようなもの」を編む

16 『社会調査ハンドブック』の方法史的解読
 一 素材としての技法書
 二 『社会調査ハンドブック』の内容分析
 三 結論――ハンドブック構想の原点

17 「質的データ」論 再考
疑似問題とニセの解答  「方法論的基礎づけ」を立ち上げる  「一つ」への統合をめぐって  複雑な分割線の重なりあい  社会調査論の四つの意味  「理論と調査」もしくは「理論と実践」という分割線  調査という実践の場  方法の論理学  「すれ違い」を見落とさない  「質的データ」としての実体化  データの質  社会学史と社会調査史  テクストとしての社会

18 社会調査のイデオロギーとテクノロジー
 一 「社会調査論」の再検討
 二 質問紙のテクノロジーと「統計的研究法」の構成
 三 「社会調査への信頼形成」問題――シンポジウム組織者の問いに

19 地域社会に対するリテラシー
 一 方法史的認識を戦略として立ち上げる
 二 地域社会調査史の構造を鳥瞰する
 三 地域社会学と「郷土研究」――構造を内側から認識する主体

20 都市を解読する力の構築
 一 都市カテゴリーの位相とエスノグラフィの実践
 二 都市の不可視性――壁と構造と歴史と
 三 フィールドノートを書く/エスノグラフィを編む


あとがき
文献一覧
索引


   装幀=

ご注文

5,900円+税

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加

同じジャンルの商品

おすすめ書籍

お知らせ

一覧