不協和音の宇宙へ

モンテスキューの社会学

不協和音の宇宙へ
著者 中江 桂子
ジャンル 社会学
出版年月日 2017/03/31
ISBN 9784788515208
判型・ページ数 A5・312ページ
定価 本体3,900円+税
在庫 在庫あり

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「理性」「進歩」を主導概念とした啓蒙主義の時代に,モンテスキューは多様性と不協和音こそが自由の証だと主張し,社会学の始原となった。『ペルシャ人の手紙』などを丁寧に辿りながら,同質化し不寛容になっていく現代の閉塞状況に新風を吹込む力作。
不協和音の宇宙へ――目次

はじめに
凡例

第一部 抵抗と呪縛―普遍概念をめぐる格闘

第一章 ボシュエ―あるいは近代への精神的転回について
  1 地上における神の国―王と教皇の狭間で
  2 幸福なる国家の条件をめぐって―アウグスティヌスとボシュエ
  3 歴史が無用となるとき―ボシュエの歴史観
  4 真理と幸福の亀裂―ボシュエがリベルタンに見たもの
  5 近代―それは新しい展開か、あるいは新しい仮面か

第二章 揺るがす力と揺らぐ挑戦―啓蒙主義
  1 寛容と絶対の相克―ヴォルテール
  2 神なき普遍の探求―ディドロ

第三章 忘れられた幸福―コントの実証主義と社会学
  1 「実証」の意義
  2 歴史法則としての実証的精神
  3 社会有機体と自由検討
  4 幸福と実証的精神の矛盾

第四章 法と法則の二元論へのとまどい―モンテスキューとデュルケム
  1 デュルケムの出発点への問いかけ
  2 モンテスキューからデュルケムへ―その継承と断絶
  3 法則のイデオロギー化/法の透明化
  4 当為の呪縛と社会学の自由
  5 デュルケムの根本問題

第二部 多様性と相互性──モンテスキューの相対主義

第一章 社会は分裂していなければならない
  1 分裂し、かつ多様な社会をあつかうこと
  2 分裂は社会的繁栄の条件である
  3 境界と相互性の消失―腐敗が意味するもの
  4 不協和音に満ちていない平和などない

第二章 不合理ではない、しかし理解不可能―自然法
  1 習俗―楽園の喪失をめぐって
  2 自然へのまなざし―科学的精神への希望
  3 自然法則の明証性と道徳の根拠
  4 不完全な人々よ、求めよ。されど与えられぬ
  5 自然法と適合的関係―神もまたみずからを制限する

第三章 愛と矛盾―有機体はうごめく
  1 自然は人にすべてを与えている―幸福と自己愛の所在
  2 幸福と社会―パラドックスの物語
  3 情念の反-秩序
  4 子供が生まれる―人口動態のあらわすもの
  5 「趣向」の誕生―自然は修復する

第四章 自由の多層性と社会の力学
  1 エスプリは世界を跳ねまわる
  2 自由とは不完全さのことである
  3 豊かさが富によって荒廃するとき
  4 四つの自由と市民精神
  5 多様性の連結体としての世界―社会は必要だ、しかし国家は?

結 び
  1 変化しつづける多様な社会をいかに記述するか
  2 異質な世界を見わたす思考
  3 文学と社会学―つながりのありか
  4 相対主義の陥穽を超えて―多元主義の社会学へ


あとがき
索引
装幀―難波園子

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