煩悶青年と女学生の文学誌

「西洋」を読み替えて

煩悶青年と女学生の文学誌
著者 平石 典子
ジャンル 文学・エッセイ
出版年月日 2012/02/15
ISBN 9784788512733
判型・ページ数 A5・360ページ
定価 本体4,200円+税
在庫 在庫あり

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かつて学生のあいだに「煩悶」が大流行した。明治後半である。そのころ,高等教育を受けた「女学生」,そして「女学生神話」も誕生した。これら特権的若者の実態を,その「新しさ」のモデルとなった「西洋」と往還しつつ,当時の文学・メディアのなかに探る。
煩悶青年と女学生の文学誌――目次

はじめに

第一章 明治の「煩悶青年」たち
一 「煩悶青年」とは何か
   煩悶の萌芽
   「巌頭之感」の衝撃
   煩悶の流行と変質
二 文学のなかの煩悶青年たち
   ロシア経由の無為 ― 文三から欽哉へ
   煩悶できる身分
   「恋」という煩悶
三 明治末の『ヨーン・ガブリエル・ボルクマン』
   「煩悶青年」の物語としての『ヨーン・ガブリエル・ボルクマン』
   自由劇場試演とその反響
   鴎外のテクスト

第二章 「女学生」の憂鬱
一 「女学生」というメタファー
   開かれた少女たち ― 明治の新教育
   『薮の鶯』の少女たち
   「恋愛」する女学生
二 「恋愛」の波及
   『女学雑誌』の役割
   「恋愛」の翻訳
   翻訳の功罪
三 「女学生神話」の確立
   ファンタスムの誕生 ―「新聞小説」と女学生
   「神話」の確立
   「知性」と「堕落」―『魔風恋風』と囲い込まれる女学生

第三章 「堕落女学生」から「宿命の女」へ
一 「堕落女学生」の行方
   引き裂かれる頭と身体
   「悪女」の可能性
   新しい二極化 ―『青春』の女たち
二 明治東京の「宿命の女」
   翻訳のなかの「宿命の女」 ―『みをつくし』とダンヌンツィオ
   エキゾティックな強者
   クレオパトラと「新式の男 」―『虞美人草』をめぐって

第四章 「新しい男」の探求 ― ダンヌンツィオを目指して
一 『煤煙』という出発点
   「塩原事件」と『死の勝利』― 明治日本のダンヌンツィオ
   「宿命の女」の造形 ―『煤煙』の女性像
   「新しい男」の出現
二 漱石と・Oの青年像 ―「新しい男」とは何か
   塩原事件と『三四郎』
   漱石の「新しい男」 ― 長井代助
   『青年』における「新しい男」と女性たち、そしてその後継者
三 「醜い日本人」をめぐって ― ダンヌンツィオと高村光太郎を結ぶ糸
   ダンヌンツィオのジャポニスム ― サクミの登場
   ロティの影 ―『快楽』のサクミとその翻訳
   日本人の手になる「醜い日本人」 ― 高村光太郎の「根付の国」

第五章 女たちの物語
一 「令夫人」から「妖婦」へ ― 大塚楠緒子の作品をめぐって
   「令夫人」からの発信 ―『晴小袖』と『露』
   ロマンティック・ラブ・イデオロギーの解体と再構築
   明治の「パオロとフランチェスカ」ブーム
二 遅れてきた女学生小説 ―『あきらめ』の意義
   女をめぐる言説
   遊歩者としての女学生 ― モデルニテの獲得
   同性愛的世界
三 女たちの新たなる地平 ―『青鞜』に集う物語
   『青鞜』創刊号のフィクション ―「生血」と「陽神の戯れ」
   フラッパーとブッチ
   「真の恋」の希求

おわりに
 注
 あとがき
 事項索引
 人名・著作・雑誌索引


   装幀 ― 難波園子

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