井伏鱒二と「ちぐはぐ」な近代
漂流するアクチュアリティ

「庶民派」作家と見られてきた井伏鱒二は,漂流民,亡命者,移民なども多く描いた。丁寧な分析をとおして,彼の作品のもつ異種混淆(ハイブリッド)性,〈近代〉の「ちぐはぐ」さを炙り出す。従来の井伏像に一大転換を迫る,気鋭の力作評論。
井伏鱒二と「ちぐはぐ」な近代─目次
序 章 作家イメージの系譜学──「庶民文学」という評価の形成
第一章 「ナンセンス」の批評性──一九三〇年前後の諸作品
第二章 観察者の位置、あるいは「ちぐはぐ」な近代──「朽助のゐる谷間」
第三章 シネマ・意識の流れ・農民文学──『川』の流れに注ぎ込むもの
第四章 「記録」のアクチュアリティ──「青ケ島大概記」
第五章 〈あいだ〉で漂うということ、あるいは起源の喪失──『ジヨン万次郎漂流記』
第六章 歴史=物語への抗い──『さざなみ軍記』
第七章 「純文学」作家の直木賞受賞──『ジヨン万次郎漂流記』から『多甚古村』へ
第八章 戦時下における「世相と良識」──『多甚古村』
第九章 占領下の「平和」、交錯する視線──『花の町』
第十章 ある寡婦の夢みた風景──「遥拝隊長」
第十一章 エクリチュールの臨界へ──『黒い雨』
終 章 漂流するアクチュアリティ──新たな作家イメージへ
注
あとがき
索引
装幀―虎尾隆
序 章 作家イメージの系譜学──「庶民文学」という評価の形成
第一章 「ナンセンス」の批評性──一九三〇年前後の諸作品
第二章 観察者の位置、あるいは「ちぐはぐ」な近代──「朽助のゐる谷間」
第三章 シネマ・意識の流れ・農民文学──『川』の流れに注ぎ込むもの
第四章 「記録」のアクチュアリティ──「青ケ島大概記」
第五章 〈あいだ〉で漂うということ、あるいは起源の喪失──『ジヨン万次郎漂流記』
第六章 歴史=物語への抗い──『さざなみ軍記』
第七章 「純文学」作家の直木賞受賞──『ジヨン万次郎漂流記』から『多甚古村』へ
第八章 戦時下における「世相と良識」──『多甚古村』
第九章 占領下の「平和」、交錯する視線──『花の町』
第十章 ある寡婦の夢みた風景──「遥拝隊長」
第十一章 エクリチュールの臨界へ──『黒い雨』
終 章 漂流するアクチュアリティ──新たな作家イメージへ
注
あとがき
索引
装幀―虎尾隆