第一次大戦の〈影〉
世界戦争と日本文学

あれは「海の彼方の戦争」だったのか? 従来漁夫の利をえた戦争としか見なされなかった第一次世界大戦が日本社会にもたらした影響と意味を,当時の新聞・雑誌,講談,演劇,短歌,落首などのなかにさぐる,「文学」と「世界戦争」をめぐる意欲的試み。
第一次大戦の〈影〉─目次
序章 第一次大戦と日本文学
1 世界戦争を問う
2 本書の見取り図
3 「第一次大戦」という用語
? 戦争論の時空
第一章 生田長江の戦争論─第一次大戦期の批評言説
1 論争の暴力性
2 生田長江の不快感
3 文士、立候補する
4 二つの戦争論
第二章 中澤臨川の批評言説─世界戦争と〈科学〉
1 忘れられた批評家
2 「狂熱せる工学士」
3 ベルグソンの時代
4 盗用と批評言説
? 世界戦争とメディア言説
第三章 報道言語の中の世界戦争─杉村楚人冠と大庭柯公
1 紙の中の戦争
2 『神経病時代』と新聞
3 「印象批評」論争
4 二つの戦時報告
第四章 『第三帝国』の岩野泡鳴
─第一次大戦期のメディアとジェンダー
1 『第三帝国』という雑誌
2 「二重生活」論争
3 離婚闘争とジェンダー
4 戦争論と選挙論
? 第一次大戦とパフォーマンス
第五章 〈社会講談〉という戦法─世界戦争と民衆芸術
1 〈社会講談〉という試み
2 伝統主義とは何か?
3 講談を創りかえる
4 〈社会講談〉の戦略
第六章 坪内逍遙のデモクラシー─世界戦争とページェント
1 「文化戦争」とは何か?
2 早稲田騒動
3 ページェントとデモクラシー
4 ページェントの出典
第七章 現象としての〈レマルク〉─舞台の上の世界戦争
1 『西部戦線異状なし』ブーム
2 秦豊吉という翻訳者
3 戦争の劇化
4 検閲と戦争
? 第一次大戦の現象学
第八章 〈赤光〉の時代─第一次大戦期の短歌表現
1 「短歌滅亡論」の周辺
2 伊藤左千夫の死因
3 短歌と世界戦争
4 『赤光』模倣歌
第九章 落首と米騒動─危機の時代の短歌
1 落首というコンセプト
2 与謝野晶子と河上肇
3 米騒動と戯れ歌
4 安成二郎の落首
第一〇章 野口米次郎の翻訳言語─第一次大戦期の日本文化論
1 二人のノグチ
2 タゴール来日
3 野口の英国講演
4 三つのテクスト
? 〈戦後〉へ
第一一章 〈荒地〉のメディア論─戦争・コラム・ミステリー
1 二つの世界戦争
2 『荒地』とミステリー
3 鮎川の中のアメリカ
4 コラムの諸相
注
あとがき
関連略年譜
索引
装幀─虎尾隆
序章 第一次大戦と日本文学
1 世界戦争を問う
2 本書の見取り図
3 「第一次大戦」という用語
? 戦争論の時空
第一章 生田長江の戦争論─第一次大戦期の批評言説
1 論争の暴力性
2 生田長江の不快感
3 文士、立候補する
4 二つの戦争論
第二章 中澤臨川の批評言説─世界戦争と〈科学〉
1 忘れられた批評家
2 「狂熱せる工学士」
3 ベルグソンの時代
4 盗用と批評言説
? 世界戦争とメディア言説
第三章 報道言語の中の世界戦争─杉村楚人冠と大庭柯公
1 紙の中の戦争
2 『神経病時代』と新聞
3 「印象批評」論争
4 二つの戦時報告
第四章 『第三帝国』の岩野泡鳴
─第一次大戦期のメディアとジェンダー
1 『第三帝国』という雑誌
2 「二重生活」論争
3 離婚闘争とジェンダー
4 戦争論と選挙論
? 第一次大戦とパフォーマンス
第五章 〈社会講談〉という戦法─世界戦争と民衆芸術
1 〈社会講談〉という試み
2 伝統主義とは何か?
3 講談を創りかえる
4 〈社会講談〉の戦略
第六章 坪内逍遙のデモクラシー─世界戦争とページェント
1 「文化戦争」とは何か?
2 早稲田騒動
3 ページェントとデモクラシー
4 ページェントの出典
第七章 現象としての〈レマルク〉─舞台の上の世界戦争
1 『西部戦線異状なし』ブーム
2 秦豊吉という翻訳者
3 戦争の劇化
4 検閲と戦争
? 第一次大戦の現象学
第八章 〈赤光〉の時代─第一次大戦期の短歌表現
1 「短歌滅亡論」の周辺
2 伊藤左千夫の死因
3 短歌と世界戦争
4 『赤光』模倣歌
第九章 落首と米騒動─危機の時代の短歌
1 落首というコンセプト
2 与謝野晶子と河上肇
3 米騒動と戯れ歌
4 安成二郎の落首
第一〇章 野口米次郎の翻訳言語─第一次大戦期の日本文化論
1 二人のノグチ
2 タゴール来日
3 野口の英国講演
4 三つのテクスト
? 〈戦後〉へ
第一一章 〈荒地〉のメディア論─戦争・コラム・ミステリー
1 二つの世界戦争
2 『荒地』とミステリー
3 鮎川の中のアメリカ
4 コラムの諸相
注
あとがき
関連略年譜
索引
装幀─虎尾隆