フィールド心理学の実践

インターフィールドの冒険

フィールド心理学の実践
著者 上淵 寿
フィールド解釈研究会
ジャンル 心理学・認知科学・臨床 > 概論・研究法
出版年月日 2013/09/05
ISBN 9784788513556
判型・ページ数 A5・232ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり

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研究者は何者としてフィールドに関わるのか? 生じているのは誰にとっての「問題」か? タテマエや方法論だけではすまない現場研究に戸惑い,悩み,悶える体験をインターフィールドの視点から掘り下げ,理論的・複眼的に考察。実践への示唆に満ちた書。
フィールド心理学の実践――目次

はしがき
序章 インターフィールド研究の実践 ───── 上淵 寿・本山方子
第?部 フィールドですれ違う

1章 「問題」を取り上げる
   ──「問題」とは何か? 誰にとっての問題か? ───── 磯村陸子
 1.問題化によって可能になるもの
 2.問題化が不可能にするもの
 3.問題化がめざすもの

【ケース】あの時あれでよかったか
     ──保育カンファレンスからの省察 ───────── 野口隆子
 1.初めての保育の場、A幼稚園との出会い
 2.保育の場に参加した学生としての私
 3.「ずれ」る──視点が違うことへの戸惑い
 4.問いを問う
 5.プロセスの中の私
 6.おわりに──保育の場が「私」と「あの時」をどのように見ていたのか

2章 意味づけの功罪──人はつまずいて意味づけを行う ── 上淵 寿
 1.質的研究における「意味づけ」の位置
 2.意味づけに絡む要因の整理
 3.研究者の「意味づけ」の効用と問題
 4.「意味づけ」が困難な状況
 5.フィールドを意味づける、フィールドに意味づけられる
 6.肉体の意味づけ
 7.とりあえず終わりに──意味づけはどこまでも …

【ケース】観察者が意味づけをためらうとき ────── 磯村陸子
 1.ある出来事
 2.誰かの行為を見ること
 3.意味づけることと義務・責任
 4.学校というフィールドで〈大人〉であること
 5.おわりに

第?部 フィールドで生かされる

3章 見えることと共振のダイナミクス ───────── 松井愛奈
 1.見ること、見えること
 2.見えるとは?──幼稚園の観察事例から
 3.見ようとすれば見えるようになるのか?
 4.フィールドの実践に共振する

【ケース】日常をサバイヴするジェンダー実践
     ──かつて〈女子中学生〉だった私への共感 ───── 野坂祐子
 1.はじめに
   ──「オネエサン」から「オバサン」に交差する視線の中で
 2.フィールドをサバイヴする調査者
 3.おわりに──フィールドにおける出会いの限界と可能性

4章 フィールドの狭間でもだえる自己
  ──自己論から他者論、そして身体論へ ────────── 上淵 寿
 1.自己の二重性の問題
 2.「研究者」としての私と「共同実践者」としての私
 3.ポジション
 4.ポジションから情動へ、身体へ

【ケース】「役に立つ」ことにこだわる〈私〉へのこだわり
      ──B幼稚園での動揺から ───────────── 掘越紀香
 1.はじめに
 2.「役に立つ」ことの難しさ
 3.「役に立つ」ことへの〈私〉のこだわり
 4.「役に立てない」ことに動揺した〈私〉の変化
 5.「役に立つ」ことへのこだわりのサイクル
 6.現在の「役に立つ」ことにこだわる〈私〉
 7.結びにかえて──〈私〉へのこだわり

5章 「正義」の実践・実践の「正義」 ────────── 野坂祐子
 1.はじめに──フィールドにおける「正義」の所在
 2.正義の責任
 3.正義の声──語られた言葉の重さと書ける言葉の軽さ
 4.おわりに──「正義」を問うことの、その先へ

【ケース】学習を〈促す/妨げる〉デザイン
     ──地域の日本語教室を例にして ────────── 森下雅子
 1.はじめに
 2.学習環境のデザインとは
 3.空間や道具のデザインの重要性
 4.日本語教室A
 5.日本語教室B
 6.日本語教室C
 7.日本語学習を促す学習環境とは
 8.まとめ

6章 語られる局所性 ─────────────────── 上淵 寿
 1.局所性と全体性
 2.個別性・一般性
 3.局所と共同体
 4.おわりに

【ケース】子どもといる私のアクチュアリティと発現する局所性との間で
     ──────────── 古賀松香
 1.フィールド研究における局所性の問題
 2.感知される局所性の変化
 3.語りの中で変化する局所性
 4.研究者に求められる局所性に対する2つの認識

第?部 フィールドを味わいあう

7章 実践事例の記述と解釈の基盤 ─────────── 砂上史子
 1.保育・教育の記録と解釈
 2.複数の人間による解釈と了解の形成
 3.解釈の違いに影響する立場
 4.異なる実践現場の間での解釈の違い

【ケース】小学5年生の小集団学習事例の記述と解釈の実践
     ──観察当事者として ─────────────── 市川洋子
 1.はじめに
 2.取り上げた場面の決定プロセス
 3.事例の記述と考察
 4.掘越による事例記述と解釈を読んで
   ──違いが生じた理由とは?

【ケース】小学5年生の小集団学習事例の記述と解釈の実践
     ──第三者として ───────────────── 掘越紀香
 1.筆者の戸惑いとスタンス
 2.授業の全般的な印象と教師の対応
 3.児童へのまなざし(主に男子Yについて)
 4.調査者市川の事例と解釈を読んで
   ──「見つづける」ことと解釈妥当性

【メタ解釈】小学5年生の小集団学習事例の記述と解釈の実践
     ──2つのケース ───────────────── 砂上史子
 1.知らないからこその詳細な記述
 2.ビデオ映像の記述と解釈の妥当性
 3.「らしさ」を捉える枠組み
 4.解釈基盤の違い
 5.まとめ──記述と解釈の内側と外側

8章 質的研究を読むこと・読まれること ─────── 本山方子
 1.書き手─読み手─フィールド協力者のテクストを
   媒介にした関係性
 2.読むことと解釈共同体
 3.読むことの個性
 4.読むことの倫理
【ケース】麻生武著『身ぶりからことばへ』をめぐる読みの実践
     ──事例研究の説得力とは何か ─────────── 砂上史子
 1.系の内側からの観察
 2.麻生研究の記述と解釈
 3.筆者の履歴と麻生研究の読み
 4.麻生研究への問い

【ケース】麻生武著『身ぶりからことばへ』をめぐる読みの実践
     ──〈私〉による〈私たち〉の物語 ───────── 磯村陸子
 1.本書の試み
 2.共同的であるということ
 3.〈私〉に埋め込まれた〈私たち〉
 4.おわりに

【ケース】麻生武著『身ぶりからことばへ』をめぐる読みの実践
     ──誰が『身ぶりからことばへ』を書いたのか?─── 麻生 武

9章 インターフィールド実践としての教育
   ──心理学教育の立場から ─────────────── 上淵 寿
 1.はじめに──高校生、受験生から、心理学専攻の大学生へ
 2.「しろうと」から「くろうと」へ
 3.研究するのは誰のためか
 4.「くろうと」が学ぶこと
 5.心理学における質的研究導入の問題
 6.「研究とは何か」の理解について
人名索引
事項索引
  装幀=虎尾 隆

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