日本人の文革認識
歴史的転換をめぐる「翻身」

自分の信念が覆るような歴史の大転換を経験したとき,人はどう身を処するのか。文革に熱狂した人たちのその後をたずね,変わること/変わらないことの内面の意味を「翻身」というキイワードによって跡づけた,従来の「転向」研究を超える力作。
日本人の文革認識――目次
はじめに
序 章 歴史の転換に伴う問題的情況にどう迫るか
第I章 「翻身」をキーワードとする分析枠組み
一 本書の対象と方法
二 本書における「翻身」とは
三 責任の問い方や主体観をめぐる問題
四 「転向」から「翻身」へ
第?章 戦前世代の青年期における根源的・個人的変化
一 第一世代の知的エリート
1 旧制高校・帝大における左翼運動と「転向」体験
2 天皇制イデオロギーからの退避としての人道主義
3 第一世代の語り方の特徴
二 第二世代の敗戦体験
1 軍国少年・少女の対中認識と敗戦の受け入れ難さ
2 敗戦体験における格差
3 戦後の個人的変化の契機や結果としての戦後左翼運動
三 戦後における中国認識の転換
第?章 日中復交をめざす政治としての文革認識
一 新中国に対する強い不信と警戒
二 中国認識転換の政治的・経済的要因
三 転換後の中国認識に規定された文革認識
1 文革前の状況変化と文革発動に対する言論
2 文革期の訪中報告
3 日中関係改善・国交回復に向けた言論活動の継続
四 その後の言論活動の変化
第?章 メディアにおける政治としての文革認識
一 戦前の記憶における中国と文革認識
二 朝日新聞記者としての中国観と文革認識
三 「林彪事件」と日中国交正常化
1 「林彪事件」報道と日中記者交換制度への批判
2 MT貿易への移行と「林彪事件」前後の世界情勢
四 元北京特派員の回想における弁明と自負
1 「アイデンティティ操作」による記者の記憶の再構築
2 朝日新聞社内における権力の移行
3 周恩来をめぐる記憶をリソースとした「再主体化」の戦略
4 事後的語りに現われた「反省」の萌芽
第?章 革命理論・思想としての文革認識
一 毛沢東思想研究者・文革論者としての新島淳良
1 毛沢東思想研究批判と日共批判
2 リアルタイムのテクストにみる新島の文革認識
3 コミューン国家論と上海コミューンの現実
二 「文革礼賛派」との訣別とコミューン幻想の帰結
1 『毛沢東最高指示』出版をめぐる回想
2 コミューンのユートピアの帰結
3 記憶の語りにおける「脱主体化」「再主体化」
三 革命後継者たちの文革現地体験
1 「民間大使」の長男の自己変革
2 文革期の北京で暮らした日本人にとっての文革
3 日共幹部子弟の文革現地体験とその後の長期的変化
4 終わりなき文革認識を通した中国との関係の再構築
第?章 運動としての文革認識
一 日中友好運動を通した文革認識
1 中国認識転換の契機と日中友好協会分裂
2 文革認識の規定要因
3 日中友好運動としての日中旅行実務
二 斉了会の学生訪中団派遣運動を通した文革認識
1 ある学生訪中団の記録と記憶
2 日中友好運動推進母体としての斉了会のその後
3 記憶の場としての斉了会
三 「中帰連」の分裂と再統一を通してみる文革認識
1 戦後の中国認識転換としての「思想改造」
2 「中帰連」結成の経緯と「思想改造」の効果
3 「中帰連」分裂における集団的要因と再統一における個人的要因
第?章 「六○年代」の学生運動と文革認識
一 学生運動における文革認識
1 ML派の運動・毛沢東思想研究会の活動を通した文革認識
2 善隣会館事件を契機とした華僑青年の文革認識
3 「三里塚」援農学生の文革認識と運動における撤退の意味
二 ノンセクト学生にとっての一九六〇年代と文革認識
1 中国と文革の時代的特殊性
2 文革認識の再構築を通した中国観の転換
終 章 文革認識の語り方と「翻身」の意味
一 各章の小括を通してみる「翻身」の比較事例のまとめ
1 戦前世代の青年期における根源的・個人的変化
2 日中復交をめざす政治としての文革認識宇都宮徳馬
3 メディアにおける政治としての文革認識秋岡家榮
4 革命理論・思想としての文革認識新島淳良・西園寺一晃ら留学生
5 運動としての文革認識
6 「六〇年代」の学生運動と文革認識
二 共時的・通時的分析軸に沿った「翻身」の比較分析と考察
1 本書における「翻身」の代表的事例を通してみる類型別特徴
2 情報の種類とその受容に関わる問題についての考察
3 文革後の記憶の語り方と「翻身」という問題についての考察
4 本書の結論とそれによって示唆される問題提起
注
あとがき
文献リスト
関連年表
索引
はじめに
序 章 歴史の転換に伴う問題的情況にどう迫るか
第I章 「翻身」をキーワードとする分析枠組み
一 本書の対象と方法
二 本書における「翻身」とは
三 責任の問い方や主体観をめぐる問題
四 「転向」から「翻身」へ
第?章 戦前世代の青年期における根源的・個人的変化
一 第一世代の知的エリート
1 旧制高校・帝大における左翼運動と「転向」体験
2 天皇制イデオロギーからの退避としての人道主義
3 第一世代の語り方の特徴
二 第二世代の敗戦体験
1 軍国少年・少女の対中認識と敗戦の受け入れ難さ
2 敗戦体験における格差
3 戦後の個人的変化の契機や結果としての戦後左翼運動
三 戦後における中国認識の転換
第?章 日中復交をめざす政治としての文革認識
一 新中国に対する強い不信と警戒
二 中国認識転換の政治的・経済的要因
三 転換後の中国認識に規定された文革認識
1 文革前の状況変化と文革発動に対する言論
2 文革期の訪中報告
3 日中関係改善・国交回復に向けた言論活動の継続
四 その後の言論活動の変化
第?章 メディアにおける政治としての文革認識
一 戦前の記憶における中国と文革認識
二 朝日新聞記者としての中国観と文革認識
三 「林彪事件」と日中国交正常化
1 「林彪事件」報道と日中記者交換制度への批判
2 MT貿易への移行と「林彪事件」前後の世界情勢
四 元北京特派員の回想における弁明と自負
1 「アイデンティティ操作」による記者の記憶の再構築
2 朝日新聞社内における権力の移行
3 周恩来をめぐる記憶をリソースとした「再主体化」の戦略
4 事後的語りに現われた「反省」の萌芽
第?章 革命理論・思想としての文革認識
一 毛沢東思想研究者・文革論者としての新島淳良
1 毛沢東思想研究批判と日共批判
2 リアルタイムのテクストにみる新島の文革認識
3 コミューン国家論と上海コミューンの現実
二 「文革礼賛派」との訣別とコミューン幻想の帰結
1 『毛沢東最高指示』出版をめぐる回想
2 コミューンのユートピアの帰結
3 記憶の語りにおける「脱主体化」「再主体化」
三 革命後継者たちの文革現地体験
1 「民間大使」の長男の自己変革
2 文革期の北京で暮らした日本人にとっての文革
3 日共幹部子弟の文革現地体験とその後の長期的変化
4 終わりなき文革認識を通した中国との関係の再構築
第?章 運動としての文革認識
一 日中友好運動を通した文革認識
1 中国認識転換の契機と日中友好協会分裂
2 文革認識の規定要因
3 日中友好運動としての日中旅行実務
二 斉了会の学生訪中団派遣運動を通した文革認識
1 ある学生訪中団の記録と記憶
2 日中友好運動推進母体としての斉了会のその後
3 記憶の場としての斉了会
三 「中帰連」の分裂と再統一を通してみる文革認識
1 戦後の中国認識転換としての「思想改造」
2 「中帰連」結成の経緯と「思想改造」の効果
3 「中帰連」分裂における集団的要因と再統一における個人的要因
第?章 「六○年代」の学生運動と文革認識
一 学生運動における文革認識
1 ML派の運動・毛沢東思想研究会の活動を通した文革認識
2 善隣会館事件を契機とした華僑青年の文革認識
3 「三里塚」援農学生の文革認識と運動における撤退の意味
二 ノンセクト学生にとっての一九六〇年代と文革認識
1 中国と文革の時代的特殊性
2 文革認識の再構築を通した中国観の転換
終 章 文革認識の語り方と「翻身」の意味
一 各章の小括を通してみる「翻身」の比較事例のまとめ
1 戦前世代の青年期における根源的・個人的変化
2 日中復交をめざす政治としての文革認識宇都宮徳馬
3 メディアにおける政治としての文革認識秋岡家榮
4 革命理論・思想としての文革認識新島淳良・西園寺一晃ら留学生
5 運動としての文革認識
6 「六〇年代」の学生運動と文革認識
二 共時的・通時的分析軸に沿った「翻身」の比較分析と考察
1 本書における「翻身」の代表的事例を通してみる類型別特徴
2 情報の種類とその受容に関わる問題についての考察
3 文革後の記憶の語り方と「翻身」という問題についての考察
4 本書の結論とそれによって示唆される問題提起
注
あとがき
文献リスト
関連年表
索引